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菅原孝標女とは特に関係ない
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――魔法に魅せられた。

幼少時。幼稚園に通うくらいの頃、魔女の本(童子向けであるが、魔法の薬の作り方や西洋の魔女について様々なことが書いてあった)に取り付かれた。
文字通りの意味である。
その本はとても魅力的であり、子供が読むにはリアリティがありすぎた。

なるほど。自分の将来の夢が魔法使いの弟子であることは仕方ないことだったのだ。

それから、自分のあらゆる創作には何らかの魔法であり幻想が絡んでいた。
紅蒼曲なんかの世界がその集大成で、それを自分なりに発展させた、もとい学び、更に再構成したものが未来歪曲である。
しかし、魔法に取り付かれるが故に、魔法の性質に気付いた。

否。気付いてしまった。

魔法とは奇跡に他ならない。
灰被りの元にやってくる年老いた老婆がステッキを振り、様々なことをするのも魔法であるし。
ゲームのように火の球を出すのもまた魔法である。
なるほど。奇跡だ。人が瞬時にそれを行うことは。そして生身で行うことは。とうてい不可能なのだから。
人の手に余る行為は奇跡に他ならない。
人は往々にして奇跡に頼る。
そのような精神構造を気が遠くなるような時間を掛けて作り上げてしまったのだ。
獣と人との境界は精神の構造である。
長い時間刷り込まれた幻想を払拭するのは人間では不可能である。
つまりこの世界においてもっともリアリティがあるのは動物に他ならない。
科学が蔓延しようと、人は神を信じ、人を殺すのだから。
生きる上では過分なそれに取り付かれること。その精神こそまさに人である。

――話を戻そう。

小学生の頃、ドイルのホームズシリーズにハマリ、そこから洋書を読みふけった。
レ・ミゼラブル(読んだのは、ああ無常の方であったが)やらを当時読んでいたせいで、今でも文章が翻訳文章のような癖が残っている。
中学生になり、部活を熱心に行っていたが、一時期鎖骨を折り、運動が出来なくなった。
そしてライトノベルを発見する。
この頃、電撃の第一回大賞クリス・クロスに影響を受け、高畑京一郎信者となる。
クリス・クロス。タイム・リープ・ダブル・キャスト。全てこの頃に読んだものだ。
だからこそ、今の電撃文庫の流れとは反してしまうものを書いてしまうのだろう。
これも妄執である。
高校生になり、相方と遭遇。ここで様々な見聞を広げる。

――閑話休題。

このようなバックボーンがあり(小学生の頃、最高に影響を受けた本は秘密。まあ、小学生らしからぬ内容の本であったことだけは事実であるが)、幻想やらをやたら好む人種が生まれた。基、生まれてしまった。
そして、高校の終りに実際に書くようになって更にそれは加速する。
処女作の輪廻転心が酷く幻想に満ちたものであったのはきっとこのせいなのだろう。
そして専門学生になり、様々な資料を読みふけった。
そして気付いたのだ。
ああ、自分の信じていたものは、存在しないのだな。と。
今まで神を信じてやまなかったものに、ニーチェの書物を読破させれば同じような心境になっただろう。
神は死んだのだ。
それから、自分の世界を否定した。
それは今までの全てを否定するも同義である。
ただ、一つだけ言わせてもらうなら、自分は幻想を否定しているわけではない。
ある種究極の形で幻想を肯定しようとしているのだ。
なるほど、自分がやっていることはある意味で神卸なのかもしれん。今はまだ雨乞い程度であろうが。
そこから色々傾向していくのだが、これはまた別のお話。

またつまらぬものを長々と書いてしまったものだ。
日記を書くネタなんて腐るほどあるが、たまにはこういう形も良いと思った矢先にこれである。


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